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2023/09/03 11:01

9月2日よりスタートした出垣内愛さんの個展『還元』




常連のお客様が出垣内さんと一緒にお店に来てくれた際にご紹介していただいたのがきっかけで知り合いました。

最初は小柄でニコニコと可愛らしい方だなぁという印象で「私陶芸家なんです」と聞いて、きっと可愛いアクセサリーとかを作っているんだろう。
と思い「作品の写真などあったりしますか?」と尋ねて見せて頂いた写真が無骨なオブジェや器やアクセサリーの写真でした。

特にオブジェは大きくてゴツゴツとした強さと釉薬の妖艶さを感じる不思議な作品。

こちらの勝手なイメージとかけ離れた作品に驚きを隠せず、「え?このかっこいいのを出垣内さんが作ってるんですか?」と失礼な発言をしてしまいました。

TRILLのお店はカフェや雑貨の可愛らしい雰囲気とSHABBY'S MARKETPLACEのアンティークのかっこよさが混ざり合っているので、雰囲気がぴったりだなぁと思い、その場で「個展をしてください」とお願いしました。
「元々アンティークが好きなので嬉しいです!」と快く承諾してくださいました。


後日改めて個展の打ち合わせでお会いした際に今までの作品の資料も見せていただき「やっぱりかっこいい、、、」という感想。

お話を聞くと『大学で講師をしながら釉薬を研究している』とのこと。
釉薬は今までも聞いたこともあるし、なんとなく分かっているつもりでいました。

釉薬は原料となる"灰×長石×金属"を混ぜ合わせて陶磁器に塗り、焼くことでガラス質の膜ができ、表面を保護して水分などが染み込むのを防ぎ、焼き物が丈夫になる役割があるそうです。
まず"灰×長石×金属"を混ぜ合わせていることすら知りませんでした。

「有機物であればなんでも釉薬になりますよ。化学式があるんです」
「窯に入れることで化学式が変化して、最終的に窯の焚き方の具合で同じ釉薬でも色や質感が変わるんです」



と同じ銅の釉薬を使って焼いた作品で、とても綺麗な青色と熱を集中して当てた赤色に変化した作品を見せていただきました。



その実験のような作業をひたすら繰り返し、焼き上がってみないと分からない表情を見ることが楽しいとお話してくださいました。
説明をしている間も嬉しそうにお話されていて、本当に釉薬の研究が好きなんだなぁと伝わってきました。

今回の個展ではオブジェをメインに展示しています。
オブジェは店頭のみでしかご覧いただけませんが手に取りやすいアクセサリーや鉢などはオンラインショップにも撮影出来次第、順次掲載予定です。

化学式を使い素材を組み合わすことで生まれる必然の美しさ、窯焚きにより都度変化する釉薬の個性から生まれる出垣内さんの作品。
唯一無二の表情の作品を是非ご覧ください。

-------------出垣内愛-------------

釉薬は有機物の灰、石、金属からなっています。
木、草、骨、紙、と私が好む有機物を燃やしガラスにして石と混ぜ、金属を炎の具合に合わせて調合していきます。
この炎の具合という窯の焚き方が一番で色や質感を選ぶ事が出来ます。
釉薬を調合するようになったきっかけはただ研究が楽しいからです。

しかし研究を続けていく中で自分の内面性を表していたことに気づきました。

自分の思考よりも早く気持ちを表してくれ、思考の答えに導いてくれます。


オブジェについて

私にとって陶芸は良いパートナーであり縋るものです。

何かを信じたい気持ちから陶磁器オブジェを道祖神と例えるようになりました。

またさまざまな場所に展示することで、気候や人に触れ釉薬が変化していくオブジェは鑑賞者にとっても道祖神になるようにと制作を続けています。


個展
2022「1190」 JITSUZAISEI gallery/大阪
2023 「幾度」  Gallery Blau katze/大阪

主なグループ展
2021「Relax」art house icone/大阪 
2021「女流陶芸展」京都セラ美術館 / 京都
2022「その匙を緩める」 art house icone/大阪 
2022 Hopstep Spring Gifts! 阪急梅田本店/大阪
2022 MY STYLING STORE 阪急梅田本店/大阪
2022「枕崎国際芸術賞展」 南溟館 / 鹿児島
2022「Osaka Independent」大阪府立江之子島文化美術創造センターenoco/大阪
2023「SICF24」 スパイラル/東京
2023「Osaka Independent」ART  GALLERY UMEDA/大丸梅田11F/大阪
その他百貨店展示など

受賞歴
2020 第71回奈良県美術展覧会 入選
2021 第55回女流陶芸展 入選
2022 第3回枕崎国際芸術賞展 入選